"反日諸国とこそ結ぶべき、国家間相互依存性 「国際社会に於ける反日問題」4/6"
黒川 和嗣(くろかわ かづし)です。前回までは「国家間摩擦への対応」を分析してきましたが、今回は「相互依存性」の側面で考察を行います。
「国際社会に於ける反日問題」3/6
◼第四項 「国家相互依存性」
まず、国家間外交において重要となってくる項目としては、経済の相互依存性です。この点は「反日問題」を棚に上げたとしても、重要性の高い要素となります。経済的依存性が高まれば、それは軍事力以外における一つの抑止力となるからです。一方にとって外交上不利益となる事案は、米中貿易摩擦でも見られるように、相互の貿易収支や研究開発など成長戦略を鈍化させてしまいます。依存度が高い程、両国間の関係を安易に悪化させる事は困難となる事が慣例としてある訳です。
しかし、先に挙げたように、比較的に依存度の高い米中関係で対立が起きている事も事実です。この点を鑑みた場合、相互依存性と抱き合わせで重要となってくる課題があり、それは安全保障や自由貿易などの観点です。特に中国は、国家体制として、自由経済ではなく、国策経済なので、スパイ防止や技術の軍事転用、情報漏洩などが発生する恐れがあり、強固な対策と、明確な協定が必要となるでしょう。また、中国は知的財産権の侵害などの懸念もあるので、相互企業の権利保証も重要な課題となります。現在、米国が向き合っているこれらの諸問題は、対中貿易を行う全ての国家がいつかは取り組まなければならない課題でしょう。
ただこれらの交渉を進める為には、短絡的に経済依存性を高めれば良い、という訳ではなく、「軍事的背景」も当然必要となってきます。中国との外交問題は、米国だけに限った事ではありませんが、なかなか表層化し難い理由の一つとして軍事力が関係するでしょう。これは、単に「軍事力を拡大する必要性」という意味ではなく、本稿でも再三触れてきた「如何にして国際社会への秩序形成へコミットメントを持つのか」という事であり、その影響力が強いほど広範囲な経済圏を形成出来るからです。冒頭で申し上げた「軍事力以外の一つの抑止力」とは正にこういう事です。軍事力、協定、経済が一方通行になってしまうと、抑圧的で不利益な外交となってしまう事は歴史が証明しています。
つまり、今般言われているような「国交断絶」や「経済活動の締め出し」、「企業活動の撤退」を行うのではなく、近隣地域の秩序形成へコミットメントを示し、自国の市場や国益を守る為の規制や協定を十分に対処した上で、経済活動の相互依存性を高める事が、国際社会での成長戦略であり、少子高齢化に伴い内需経済が停滞する日本国にとっては、重要な課題解決へと繋がるのです。
今回は、経済の相互依存性を軸に、国家間での視点で考察を行いました。次回は引き続き、経済の相互依存性をテーマに、国内市場や企業間の取り組みについて考察を行います。
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