勾玉日記

黒川 和嗣のブログです。

"西洋視点に映る、米国民の命を買う日本  「国際社会に於ける反日問題」2/6"

 黒川 和嗣(くろかわ かづし)です。前回までは、日本政府(安部政権)の外交評価と国家間摩擦という観点で、日本の国際的立場を考察してきました。その中では、日本の安定と慎重さが垣間見得たと思います。しかし、アジア圏及び国際社会における秩序形成への責任と、西洋諸国に残る歴史認識の背景という2点で観測した場合、先に上げた「日本の安心と慎重」はまた違った様相に写ります。今回はこの2点について考察してみましょう。 

 

「国際社会に於ける反日問題」3/6

第1項 "反日の4カ国に対抗する磐石政権"

第2項 "西洋視点に映る、米国民の命を買う日本"

第3項 "ロビー活動と戦後処理を行うための改憲論"

第4項 "反日諸国とこそ結ぶべき、国家相互依存性"

第5項 "反日の外資を日本の糧とする、個別的相互依存性"

第6項 "日本の成長には、左派の成熟が必須"

 

◼第二項 「西洋諸国から見た戦後日本」
 これらのテーマを扱う上で、再認識が必要なことがあります。それは、第二次世界大戦において日本は敗戦国である事そして、自国防衛に「専念する」自衛隊は国際社会にコミットメントを持つ軍隊ではない事です。

 戦後における日本の目まぐるしい経済発展は、吉田ドクトリンとして、「軍事力の拡大」と引き換えに手に入れたものでした。1950年の朝鮮戦争により、米国からの軍事予算の拡大が求められ、その過程では、決して簡単ではありませんが、改憲や再軍備化へ切り替えるタイミングは幾度かあったでしょう。しかし、それでも軍事に費やすリソースを経済発展に投下することで、世界有数の経済大国としての地位を獲得する選択を取りました。

 現代にまで至るこの選択は、多大なる恩恵を日本に与えると共に、1990年クウェート危機、1991年湾岸戦争などで、国際社会から徐々に批判の声も聞かれるようになります。連合国として各国が紛争地帯へ「我が子」を派兵する最中、経済復興を見事に成し遂げた日本は、建前上戦闘行為には参加せずに、支援や資金提供をするに留まったからです。国際社会の平和と秩序の維持へコミットメントを持たない日本は、旧西側諸国からは慎重さ以上に「無責任」に映っていたのではないでしょうか。

 また、自衛権の多くを米軍に依存する日本の安全保障体制は、独立国家としての主権を満たしているとは言い難く、大変乱暴な表現ではありますが、在日米軍駐留経費の多くを負担することで、米国民の命を買っているようなものと言えるのではないでしょうか。このように、過去の安全保障上の責任を鑑みた場合、日本の国際的立場は突然不信感の強いものとなってしまうのです。

 これらを払拭するには、憲法改正及び軍司法制度を設け、自衛隊の違憲論争に終止符を打つ事で、国際社会に対する責任を果たす必要があります。ただ、この点に関しても、日本政府は無策な訳ではなく、既に安倍政権は段階的な処置として、集団的自衛権や改憲を視野に政治活動を行っています。

 ただ、敗戦国である日本としての歴史は変えることが出来ない事も事実であり、西洋諸国にとって脅威の対象になるだけではなく、第二次世界対戦及び帝国主義の歴史的正当性を維持する根拠として、同じく敗戦国であるドイツと共に、後ろ髪を引かれる立場ではあり続けるでしょう。

 

 今回のこのテーマは反日とは関係の無いように思いますが、反日を主張する各国は総じて「敗戦、脅威、無責任」という点に焦点を当てることで、尽くロビー活動を成立させるため、この項目は重要なファクターとなります。その辺りは、ロビー活動と戦後処理に関する考察として、次回行いたいと思います。

 

 

 

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